やさしく慈愛に満ちた詩の世界を、みすゞさんゆかりの地の風景写真とあわせて選りすぐって紹介し、短くもひたむきに生きた26年の生涯をたどる。生誕120年を記念した愛蔵版。
監修:矢崎節夫
「私と小鳥と鈴と」より
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが
飛べる小鳥は私のように、
地面を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
金子みすゞ かねこ みすず、本名:金子 テル(かねこ テル) 1903年(明治36年)4月11日~1930年(昭和5年)3月10日
山口県大津郡仙崎村(現在の長門市仙崎)生まれ。大正時代末期から昭和時代初期にかけて活躍した日本の童謡詩人。
26歳で夭逝するまで約500編の詩を遺した。没後半世紀はほぼ忘却されていたが、1980年代以降に脚光を浴び、再評価が進んだ。西條八十に激賞されたが早逝、幻の童謡詩人とされていた。遺稿集が発掘され、出版(1984年)、深く優しい世界観が広く知られた。代表作に「私と小鳥と鈴と」「大漁」など。
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