なぜ英国は児童文学王国なのか ファンタジーの名作を読み解く 目次
▶序章 なぜ英国は児童文学王国なのか
親不在/退屈する子供/物語への関心と細部の写実性/児童文学王国の背景
Ⅰ
▶第一章 ルイス・キャロル
── アリスの違和感
「変化に対する当惑」の物語/変化の過渡期としてのヴィクトリア時代/不思議の国の居心地の悪さ/アリスの成長
▶第二章 エリザベス・グージ
── キリスト教文学としての『小さな白馬』
デヴォンの谷への「帰還」/教会中心の村社会とマリアの信仰心/七つの大罪 ── 伝統的主題/二つの時代へのアンチテーゼ
▶第三章 メアリー・ノートン
── 『借り暮らしの小人たち』シリーズの同時代性
伝聞による物語を語る「信頼できない語り手」/背景としての<歴史的危機>/終わらない物語と伝統/二つの時代の産物
▶第四章 ルーシー・M・ボストン
── 『グリーン・ノウ』シリーズとその背景
現在と過去の邂逅/居場所を奪われた者たちのための避難場所/グリーン・ノウ屋敷の危機/過去との連続性を体現する屋敷
▶第五章 フィリッパ・ピアス
── 川辺の物語
・「ハヤセ号セイ川を行く」 ── セイ川と二つのバーリー村 ・「トムは真夜中の庭で」 ── 囲われた庭と流れ行く川
・「小さな紳士」と「見つけ屋の魔法」 ── 川辺への帰還/記憶の継承とその媒体
▶第六章 マイケル・ボンド
── 『パディントン』シリーズとその背景
シリーズ全体の概要/パディントンの二面性 ── 英国的なるものと他者性/時代背景 ── 過去と現在の対照/
パディントンのロンドン ── 同時代へのアンチテーゼ
▶第七章 ペネロピー・ライヴリー
── 『時の縫い目』に見る土地の精霊と英国的伝統
過去との邂逅/ライム・リ0ジスのゲニウス・ロキ/英国的伝統 ── 休暇の過ごし方、階級、過去と現在の対比/マリアの変化とライヴラリー的特質
▶第八章 ロアルド・ダール
── 文学論としての『マティルダ』
大人の横暴に知恵で抗う天才少女/マティルダの読書とダールの文学論/物語と読書の意義/悪しき現代とイングランド的
Ⅱ
▶第九章 C・S・ルイスとJ・R・R・トルキーン
── インクリングズとその周辺
出会いからインクリングズ黎明期まで/ルイスの回心からインクリングズ黄金時代まで/黄金時代の終焉/ルイスの結婚から晩年まで/
<ナルニア>と<ミドルアース>の創造
▶第十章 『喜びの訪れ』と『ナルニア国物語』
一枚の「絵」 ── 現実と非現実の対照/暗黒時代としての少年時代・少女時代/想像力と信仰/自伝の執筆を通して意識された「言うべきこと」
▶第十一章 『ナルニア国物語』におけるユーモアの重要性
「ナルニア国物語」各巻におけるユーモアの諸相/≪善≫の表象としての「喜悦」/ユーモアの欠如と「厳粛」/ユーモアの不可欠性
▶第十二章 『ナルニア国物語』における<祈り>
「ナルニア」にはなぜ祈る場面が少ないのか/「悪魔の手紙」と「マルコムへの手紙」/「ナルニア」における「言葉によろない祈り」/祈りの意味
Ⅲ
◆ロアルド・ダール文学紀行(続) ◆マイケル・モーパーゴウ ── 現代英国の国民的児童文学作家
◆マイケル・ロウゼン ── 子供と文学の仲介者
◆J・K・ロウリング文学紀行
あとがき/索引