世界で愛される『はらぺこ あおむし』をはじめ、色やしかけで魅了する絵本を手がけたエリック・カール。
制作の舞台裏やインタビューからひもとく、「絵本の魔術師」創造の軌跡。遠藤望らの寄稿も収録。
エリック・カール Eric Carle 1929年6月25日~2021年5月23日
アメリカの絵本作家。ニスを下塗りした薄紙に指や筆で色をつけた色紙を切抜き、貼りつけていくコラージュの手法が特徴。鮮やかな色彩感覚によって「絵本の魔術師」といわれる。発表した絵本は40作以上にのぼり、代表作である『はらぺこあおむし』は39か国語に翻訳され、出版部数は5500万部を超えている。
絵本作家としてあゆみはじめたきっかけは、『くまさんくまさんなにみてるの?』(ビル・マーチン 文/1967年刊)に絵をつけたことでした。
すぐに、カールは絵本づくりにのめりこみ、1968年にはみずからの絵本『1、2、3どうぶつえんへ』(ボローニャ国際児童図書展グラフィック大賞)を発表。その翌年には、『はらぺこあおむし』を刊行。このうつくしい絵本は、カールの代表作となり、現在、世界60以上の言語に翻訳され、累計発行部数は4400万部にのぼります。日本では『パパ、お月さまとって!』『だんまりこおろぎ』『たんじょうびのふしぎなてがみ』『できるかな?あたまからつまさきまで』など、40作近くの絵本が翻訳され、多くの子どもたちに親しまれています。2003年にローラ・インガルス・ワイルダー賞を受賞。2002年には、アメリカ・マサチューセッツ州に〈エリック・カール絵本美術館〉を創設し、カール作品のみならず、国内外の優れた絵本の原画を幅広く収集、さまざまな絵本の企画展を開いています。2017年には「エリック・カール展」(世田谷美術館)の開催にあわせて来日し、日本の読者に元気な姿を見せてくれました。2021年5月、マサチューセッツ州の自宅のスタジオで、家族に見守られながら91歳で逝去。