シベリアンハスキーの愛犬グレイと家族の5年のいとなみ。
迎え入れから看取りまでを、笑いと発見、涙で綴った愛犬本のベストセラー。
著者:いせひでこ
グレイがまってるから 目次
▶グレイがまってるから ●家族 ●グレイ ●昨日・今日・明日 ほか
▶気分はおすわりの日 ●病気 ●音楽 ●昨日・今日・明日 ほか
▶グレイのしっぽ ●みえない犬 ●八月 ●時を超えて
2022年6月30日 グレイの31回めの誕生日に いせひでこ
◎ グレイ ―― お空に駆けあがった犬 ◎
グレイは、生きている。
草むらの猫じゃらしに、鼻をすり寄せて くんくんしている。
八百屋の大根の前で 舌なめずりをしている。
秋の空、雲の牧場で、牧羊犬になって まぎれこんでいる。
ブロック塀の のぞき穴の向こう側で、やれやれ! おしっこしている。
グレイは、永遠だ。
絵描きは、いつも お空のスケッチ帖に、あの懐かしい姿のスケッチをし続けていた。
絵描きの中で、そして 嬉しいことに たくさんの読者の中で、グレイは生き続けているのだ。
グレイの本が生まれて もう四半世紀を過ぎ、形を変え、版を重ねてきた。
愉快で、繊細で、甘えん坊で、ちょっと頑固で たくましい犬が、自分のすべてを “一挙公開” したいと、つぶやきました。
さあ大変です。
編集部は 必死漕いで、グレイの全編を ただまとめるのではなく、再構成、絵描きは 見えない犬を通して見えた風景を 新たに描き起こし、グレイの新しい衣装となる装丁にも 工夫を凝らしました。
「ほら、いいもの 見つけた」
の あの上目づかいの「ね」の目を 感じていただけたら 嬉しいです。
◎本の内容
ハスキー犬グレイの物語は、『グレイがまってるから』『気分はおすわりの日』『グレイのしっぽ』の三部作で1993年、96年、99年に理論社から、その後、同書名の中公文庫が96年、99年、2002年にあとがきを加えて刊行され、2017年に文庫3巻を合本した『グレイのものがたり』が中公文庫から刊行されましたが、2021年現在、冊子版は刊行されていませんでした。
グレイは1991年6月30日に5頭のきょうだいの1頭として生まれた雄。
日本で空前のハスキー犬ブームがあった時代、神秘的な瞳をもった子犬が、絵描き家族に迎い入れられます。暮らしや旅、音楽などを通して、犬とのつながりは日を追って深まりますが、アレルギーやてんかん、ガンを発症し、96年8月21日にわずか5歳で旅立ちました。
グレイの表情やしぐさ、四季の風景など著者ならでは絵や、エッセイ・詩のことばが魅力の本です。『グレイのものがたり』で未収録の「空のてんらん会」「阪神・淡路大震災と1000人のチェロ・コンサート」を収録し、3篇のエッセイ、スケッチなどを掲載し、愛蔵版としました。
いのちの輝き、喜怒哀楽、生老病死、別れることの意味など、さまざまに描かれた、絵描きとグレイとの愛犬物語――30年の軌跡をおたのしみください。
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