白川静 漢字の世界観 目次
▶第一章 文字が世界を憶えている
白川静と漢字の世界観/『漢字』の衝撃/漢字には原初の祈念や欲望がある/“漢字の体系”とは/白川静の生い立ち/
「漢字」と「東洋」へのめざめ/「文字を写しながら考える」
▶第二章 呪能をもつ漢字
文字本来の「力」/文字には呪能がある/甲骨文の誕生/甲骨文は神聖な王のためのもの/「サイ」とは言霊の入れもの/「サイ」から広がる漢字群/
漢字研究は言語の本質との闘い/古代社会での言霊の攻防
「サイ」:
▶第三章 古代中国を呼吸する
古代は神話とともにはじまる/洪水神話と古代の王たち/古代中国の歴史/金文の世界/東洋学としての白川学/漢字のマトリックス/
「文字講話」で訴えたもの
▶第四章 古代歌謡と興(きょう)の方法
白川論文の独創性/研究の深化と蓄積/故郷の先人・橋本佐内と橘曙覧/歌を詠むために「思いを興す」/古代歌謡は何によって生まれたのか/
「興」という方法/「詩経」の民俗学的解釈
▶第五章 巫祝王(ふしゅくおう)のための民俗学
民俗学の開花/「万葉集」と「詩経」をつなぐもの/草摘みと水占(みなうら)の事例/
雄略天皇の歌の真意/人麻呂「安騎野(あきの)の冬猟歌」の大胆な解読/
神との交感を基とする/巫祝王の時代はいつまでつづいたのか/春秋から戦国へ
▶第六章 狂字から遊字におよぶ
新しい孔子像/「巻懐(けんかい)」という方法/孔子と「狂」の関係/
「狂」の二面性/「遊ぶものは神である」/字書の哲学/
辞書編纂者(レキシコグラファー)の歴史/字書三部作
▶第七章 漢字という国語
漢字の原理/「漢字は日本の国字である」/日本人の感覚で漢字をつかいこなす/万葉仮名の発明/和漢混淆──日本人のデュアル・スタンダード/
日本の文字革命=仮名/共鳴しつづける漢字の世界
対談 呪能と歌の心 ── 白川静の魅力 松岡正剛 五木寛之
・白川さんのどこに惹かれるのか ── 京都と福井
・郷土の詩人・大伴家持 ── 日本海文化圏の特質
・『呪』と『詩』 ・漢詩に親しむ伝統 ・歌の心と詩の技術
・漢字は国字である ・念仏、和讃が漢字を庶民に伝えた
・「定住遊民」という発想
本書で引用した白川静の文献一覧/白川静略年譜
あとがき ── 豆腐とニガリ/白川学を語り継いでほしい