電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました。

この本を手に取っていただいた男性のみなさんは、普段スキンケアをされているでしょうか。
普段、ひげを剃って肌が荒れたり、マスクのせいで皮膚がかさついたり、空気の乾燥で肌が
うるおいを失ったりしたとき、何らかの対策をしている方は何割ほどいらっしゃるだろうか。
めんどうだから何もしていない、という男性も多いと思います。
このような本を書いた私自身、つい最近までスキンケアなどほとんどしていませんでした。
肌の手入れなどしなくても、別に病気になるわけではないし、日常生活に支障はないからです。
やるべきことは他にたくさんあるし、スキンケア製品を買うにはお金がかかる。現時点で
とりあえず身体は問題なく動いているのだから、別にスキンケアなんかしなくていいや、
と思うのはごく自然な感覚です。
でも、ひげを剃った後って、肌が結構ひりひりしますよね。それってどうしていますか。
「ひげ剃りってそんなものだ」とあきらめて、そのまま放っておくでしょうか。
スキンケアを好きで毎日の習慣にしている人たちは、いったいどんな理由から、
こまめに肌の手入れをしているか、イメージできそうですか。私は、自分と同じような
「スキンケアに興味のない中年男性」に読んでいただきたくて、この本を作りました。
私は伊藤聡と申しまして、会社員をしながらライターとして文章を書いています。
もっとも好きな分野は小説などの書評、もしくは映画評で、そうした記事をあちこちの媒体に
書いています。
ライターとしても、ひとりの中年男性としても、スキンケアとは無縁の人生でした。
ところが、ある時期からスキンケアが好きなり、気がつけば他のことは何も考えられないほど
夢中になっていました。 何の予備知識もないままスキンケアの世界に飛び込んだ私は、肌の
手入れとはどうやるのかを調べ始め、いろいろな人と知り合って 知識を伝授してもらい、
思いもよらない発見をたくさんしました。 決して大げさではなく、これはちょっとした冒険
だったのです。
こうした話を男性にすると、「メンドくさい」「俺の肌がキレイになったところで、誰も喜ば
ない」という反応が返ってくることが多くあります。 そうですよね。
やったら何がどう変わるのか、どんなプラスがあるのかが見えにくいかもしれません。
また「スキンケアの何がいいのか、かんたんに説明してくれよ」と質問されるケースもあります。
そう言いたい心情はよくわかるのですが、世の中には百四十文字では説明しきれないことも
たくさんあるのです。 スキンケアの旅に出た私が、どのような冒険を経て、どんな場所へ
到達したのか、この本を通じてお伝えできればと思っています。