CD+DVD
観世銕之丞家名吟・名演集
心に伝える花の芸 ── 全5巻 ──
心に伝える花の芸 ── 全5巻 ──
CD:収録時間221分/モノラル
DVD:収録時間120分/画面サイズ4:3/カラー/モノラル/ドルビーデジタル/チャプター付/ジュエルケース
観世銕之丞家の名演をNHKのアーカイブに保管されていた映像・音声よりDVD1枚とCD4枚に収録!観世銕之亟家能楽観世流宗家観世家の15世観世大夫元章の弟・観世織部清尚が1752年に分家を許された時に始まる。家系上は九代目を数える。観世華雪 …… 昭和の名人・冷えたる至宝 観世雅雪 …… 深き情をたたえた芸 観世寿夫 …… 世阿弥の再来といわれた芸 八世銕之亟 … 強さと色気をそなえた人間国宝の至宝 |
心に伝える花の芸~観世銕之丞家名吟・名演集~ 収録内容
▶CD 4枚
Disc-1 番囃子 国栖(くず)
シテ 観世華雪 ワキ 観世寿夫 ツレ 観世静夫
1955年3月6日
1955年3月6日
◆あらすじ
叛逆に遭った清見原天皇が臣下に伴われて吉野山中・国栖の里へ迷い込み、一軒の庵で休んでいると、そこへ老翁と姥が帰ってくる。老夫婦は突然の帝の来臨に驚きつつも、空腹の帝へ食事を献上する。やがて鮎の残りを下賜された老翁は、この鮎で帝の行く末を占おうと言い出す。
叛逆に遭った清見原天皇が臣下に伴われて吉野山中・国栖の里へ迷い込み、一軒の庵で休んでいると、そこへ老翁と姥が帰ってくる。老夫婦は突然の帝の来臨に驚きつつも、空腹の帝へ食事を献上する。やがて鮎の残りを下賜された老翁は、この鮎で帝の行く末を占おうと言い出す。
老翁が川に放つと、鮎はたちまち生き返り、一同はこの吉兆に喜ぶのだった。ところがそこへ敵の追手が迫り、絶体絶命の危機。老翁は帝を匿うと、決死の思いで追手と渡りあい、撃退に成功する。帝は老翁の気高い心を讃え、感謝の言葉を述べるのだった。その夜。辺りは幻想的な雰囲気となり、やがて妙なる音楽に引かれて天女が現れ、舞の袖を翻す。そこへ、今度はこの山の守護神・蔵王権現が出現し、来たるべき帝の治世を言祝ぐのであった。
Disc-2 番囃子 井筒/素謡 大原御幸 語り
▶番囃子 井筒(いづつ) 1954年9月5日
シテ 観世華雪 ワキ 山口幸徳
◆あらすじ
旅の僧が大和国 石上の里を訪れると、在原寺の境内で一人の女に出会う。庭の片隅にある塚へ花水を手向けていた彼女は、これこそ在原業平の墓だと教えると、業平と紀有常の娘との夫婦の愛の物語を語り、幼馴染みであった二人が小さい頃に井戸へ面影を映しあっていたことなどを教える。やがて女は、自分こそ紀有常の娘の霊だと明かすと、姿を消してしまう。
旅の僧が大和国 石上の里を訪れると、在原寺の境内で一人の女に出会う。庭の片隅にある塚へ花水を手向けていた彼女は、これこそ在原業平の墓だと教えると、業平と紀有常の娘との夫婦の愛の物語を語り、幼馴染みであった二人が小さい頃に井戸へ面影を映しあっていたことなどを教える。やがて女は、自分こそ紀有常の娘の霊だと明かすと、姿を消してしまう。
夜も更けた頃。僧の夢に、有常の娘の霊が現れた。業平の形見の衣をまとった彼女は、愛する夫との一体感に浸りつつ、高まりゆく恋慕の思いとともに舞いはじめる。ついに感極まり、思い出の詰まった井戸へ向かう彼女。水に映る面影を暫し見つめていた彼女は、幸せな日々を懐かしみつつ、そのまま消えてゆくのだった。
▶素謡 大原御幸 語り(おはらごこう かたり) 1952年7月6日
シテ 観世華雪 地謡 観世銕之丞(雅雪)、観世寿夫
◆あらすじ
源平の戦いの後、安徳帝の母 建礼門院は出家して京都の北方 大原寂光院に隠棲し、大納言の局・阿波の内侍とともに、天皇や平家一門の菩提を弔っていた。ある日、女院と局が花を摘みに外出しているところへ、後白河院が女院を慰問しに訪れる。そこへ女院と局が山から戻り、院と久しぶりに再会した女院たちは昔を偲んで涙する。院は「女院が生きながらにして六道輪廻を体験した」という噂の真偽を尋ね、女院は平家都落ちの苦しみが六道輪廻にも等しいものであったことを述べる。次いで院は、安徳帝が壇ノ浦に入水した時の有り様を語るよう所望し、女院はその時の様子を語る。やがて、日も暮れ方となり、女院に見送られながら、院の一行は帰ってゆくのだった。
源平の戦いの後、安徳帝の母 建礼門院は出家して京都の北方 大原寂光院に隠棲し、大納言の局・阿波の内侍とともに、天皇や平家一門の菩提を弔っていた。ある日、女院と局が花を摘みに外出しているところへ、後白河院が女院を慰問しに訪れる。そこへ女院と局が山から戻り、院と久しぶりに再会した女院たちは昔を偲んで涙する。院は「女院が生きながらにして六道輪廻を体験した」という噂の真偽を尋ね、女院は平家都落ちの苦しみが六道輪廻にも等しいものであったことを述べる。次いで院は、安徳帝が壇ノ浦に入水した時の有り様を語るよう所望し、女院はその時の様子を語る。やがて、日も暮れ方となり、女院に見送られながら、院の一行は帰ってゆくのだった。
Disc-3 番囃子 隅田川(すみだがわ)
シテ 観世銕之丞(雅雪) ワキ 宝生弥一
ワキツレ 宝生閑 1965年4月10日
ワキツレ 宝生閑 1965年4月10日
◆あらすじ
隅田川の渡し場で船頭が旅人らを乗せ、舟を出そうとしていると、そこへ息子を捜して旅する狂女がやって来た。『伊勢物語』に描かれた在原業平の故事に思いをはせ、自らを業平になぞらえて浮かれ戯れる狂女。そんな彼女も乗客に加わり、舟は漕ぎ出してゆく。対岸に着くまでの間、船頭は去年この地に起こった出来事を乗客たちに語る。それは、都から誘拐されてきた子が、この地で亡くなったという話であった。
隅田川の渡し場で船頭が旅人らを乗せ、舟を出そうとしていると、そこへ息子を捜して旅する狂女がやって来た。『伊勢物語』に描かれた在原業平の故事に思いをはせ、自らを業平になぞらえて浮かれ戯れる狂女。そんな彼女も乗客に加わり、舟は漕ぎ出してゆく。対岸に着くまでの間、船頭は去年この地に起こった出来事を乗客たちに語る。それは、都から誘拐されてきた子が、この地で亡くなったという話であった。
やがて舟は到着したが、狂女はひとり船中で泣き続けていた。実は彼女こそ、その子供の母親だったのだ。船頭は彼女をその子の墓へ案内し、追悼の大念仏に加わるよう勧める。その夜、大念仏をおこなっていると、群衆の念仏の声に混じって死んだ子の声が聞こえてきた。やがて塚の内から現れた子の幽霊。わが子を抱きしめようとする母だったが、幽霊はそんな彼女の手をすり抜けると、そのまま消えてしまうのだった。
Disc-4 番囃子 熊野(ゆや)
シテ 観世寿夫 ツレ 朝見真広(真州)
ワキ 宝生弥一 1973年4月8日
ワキ 宝生弥一 1973年4月8日
◆あらすじ
遠江国 池田宿の遊女・熊野は、平宗盛の寵愛を受け、都に留め置かれていた。病気の老母をもつ彼女は度々暇を乞うものの、なかなか帰郷の許しが出ない。そうする内、余命僅かの身を嘆く母の手紙をたずさえ、侍女の朝顔が訪ねて来た。熊野は手紙を宗盛の前で披露するが、宗盛はなおも帰郷を許さず、そればかりか彼女を花見の供に連れ出してしまう。
遠江国 池田宿の遊女・熊野は、平宗盛の寵愛を受け、都に留め置かれていた。病気の老母をもつ彼女は度々暇を乞うものの、なかなか帰郷の許しが出ない。そうする内、余命僅かの身を嘆く母の手紙をたずさえ、侍女の朝顔が訪ねて来た。熊野は手紙を宗盛の前で披露するが、宗盛はなおも帰郷を許さず、そればかりか彼女を花見の供に連れ出してしまう。
一行は東山へと向かい、熊野は京の様々な景物を目にしては愁いに沈む。やがて清水寺へ着いた宗盛たちは酒宴をはじめ、熊野は母の身を案じつつも桜をめでて優雅に舞う。そのとき、にわかの通り雨に散ってゆく花を見た熊野は、母の面影を重ねて歌を詠む。その歌に心動かされた宗盛は、ついに彼女の帰郷を許すのだった。
▶DVD 雷電/三山
▶雷電(らいでん) 1988年3月21日
シテ 観世銕之丞(八世) ワキ 宝生閑
ワキツレ 森常好、善竹、宝生欣哉
ワキツレ 森常好、善竹、宝生欣哉
◆あらすじ
比叡山の法性坊のもとにある夜、菅原道真の霊が訪れ、生前師弟であった二人は再会を喜ぶが、道真は雷神となって内裏に祟ること、そのとき参内の勅命があっても従わないで欲しいことを法性坊に告げる。法性坊がそれを断るや、道真は顔色急変して鬼の形相となり、柘榴を噛み砕いて火を吐くと姿を消してしまう。やがて法性坊が内裏に召されて祈祷をしていると、雷神となった道真の怨霊が現れ法性坊と戦うが、最後には法力に屈して去ってゆく。
比叡山の法性坊のもとにある夜、菅原道真の霊が訪れ、生前師弟であった二人は再会を喜ぶが、道真は雷神となって内裏に祟ること、そのとき参内の勅命があっても従わないで欲しいことを法性坊に告げる。法性坊がそれを断るや、道真は顔色急変して鬼の形相となり、柘榴を噛み砕いて火を吐くと姿を消してしまう。やがて法性坊が内裏に召されて祈祷をしていると、雷神となった道真の怨霊が現れ法性坊と戦うが、最後には法力に屈して去ってゆく。
▶三山(みつやま) 1988年3月21日
シテ 観世銕之丞(八世) ツレ 観世暁夫 ワキ 森茂好
ワキツレ 井藤鉄男、柳淳之介
ワキツレ 井藤鉄男、柳淳之介
◆あらすじ
融通念仏の開祖・良忍上人の一行が大和国を訪れ、名所の大和三山を見物しようと耳成山に向かうと、一人の女が現れ、「むかし耳成の里に住む桂子と畝傍の里に住む桜子とが香具山の男をめぐって争い、恋に敗れた桂子は池に身を投げた」という故事を語る。その後、女は自分も融通念仏に加わりたいと申し出、名を尋ねられた女は「自分こそ桂子である」と明かすと、耳成池の底へと消えていった。良忍が弔っていると、桜子、次いで桂子の幽霊が現れ、二人は争う。死してなお消えること無き、妄執の連鎖。しかし、やがて弔いによって二人は救われ、消えてゆくのだった。
融通念仏の開祖・良忍上人の一行が大和国を訪れ、名所の大和三山を見物しようと耳成山に向かうと、一人の女が現れ、「むかし耳成の里に住む桂子と畝傍の里に住む桜子とが香具山の男をめぐって争い、恋に敗れた桂子は池に身を投げた」という故事を語る。その後、女は自分も融通念仏に加わりたいと申し出、名を尋ねられた女は「自分こそ桂子である」と明かすと、耳成池の底へと消えていった。良忍が弔っていると、桜子、次いで桂子の幽霊が現れ、二人は争う。死してなお消えること無き、妄執の連鎖。しかし、やがて弔いによって二人は救われ、消えてゆくのだった。