BOOK
大日本全国名所一覧
── イタリア公使秘蔵の明治写真帖 ──
── イタリア公使秘蔵の明治写真帖 ──
明治初期の懐かしい日本が見える。
イタリア公使秘蔵の明治写真帖
縦B4判(天地364×左右257mm) 写真点数:復刻1268枚、拡大300枚
総336頁(2色 288ページ/1色 48ページ) 上製本、カバー・ケース入り
明治14年、当時の駐日イタリア公史バルボラーニが持ち帰ったアルバム。
アルバムには、北海道から沖縄までの1268枚の写真が貼られ、一枚一枚に地名・建造物名が記されている。懐かしく、貴重な写真集。
▶本書の特徴
日本全国の風景が見られる最古の写真帖。
▶元のアルバムを完全復刻し、なおかつ貴重な写真約300点を拡大し新たな解説を付した。
▶各写真の解説は、北海道から沖縄まで全国の郷土史家、古写真研究家、博物館・美術館・
▶巻末に、明治初期の各地(北海道・東京・横浜・関西・九州)の写真事情を専門家が執筆。
最古の日本全国風景写真集 石黒敬章(古写真研究家)
最古の日本全国風景写真集 石黒敬章(古写真研究家)
駐日イタリア公史バルボラーニ旧蔵の「大日本全国名所一覧」という写真帖を、私はマリサ・ディ・ルッソ氏(元東京外国語大学客員教授)が所蔵されていることを知っていた。
バルボラーニは、イタリアが日本に派遣した三人目の駐日全権公史である。明治十年五月十日から明治十四年三月五日まで滞日した。帰国の際、日本風景を写した写真帖を記念に携えていった。北海道から沖縄までの日本風景写真が、1268枚も貼り込まれてた膨大な写真帖だった。
すべての写真風景に地名が記載されている。そして貼られているすべての写真が、バルボラーニが帰国した明治十四年三月以前に撮影されたものである。古写真で場所と時代が分かるということは、非常に資料性が高いといえる。私の知る限り、これは日本全国の風景を記録した最古の写真帖でもある。いつかはその複製本を世に出したいものだと思っていた。
本書は資料性を損なわないようにするため、すべての写真を削除することなく、元と同サイズで復元した。しかも各写真にはキャプションを書き加えた。収録された写真は日本全国各地に及ぶため、現地でないと不明なことも多く、キャプションはその地方に在住の郷土史家、古写真研究家や博物館、美術館、教育委員会の方々に依頼した。執筆者は50名にも及んだ。重要な写真は拡大して巻頭にも飾り、巻末には本写真帖に係わる解説も付した。その結果、写真帖は一層充実したものとなって発行される。
編集過程で新発見のニュースも相次いだ。例えば甲府では、幻だった甲府城本丸櫓の写真があると大騒ぎになった。函館では、大沼公園の採氷事始めは、明治31年とされているが、本写真帖に採氷の写真があったことで、採氷の歴史が書き替えられそうだという。また平塚からは、見附の石垣が写った写真は初めてだと驚きの声があがったりした。
「大日本全国名所一覧」が発行された暁には、明治初期の日本全国の風景を楽しめるばかりではなく、日本各地から大反響がると確信している。