コッド岬　── 浜辺の散策 ──

ヘンリー・D.ソロー　Henry David Thoreau、1817年7月12日～1862年5月6日

米国の作家、詩人、思想家。
1817年、アメリカのマサチューセッツ州コンコードに、フランス系の血を受け継ぐ第3子として誕生。奨学金などをもらいながら、16歳で、ハーバード大学へ入学。コンコードは自然環境に恵まれた豊かな土地であると同時に、アメリカ独立革命発端の地。そこには、超越主義運動と呼ばれる文学思想活動家エマソンもいた。ソローは、エマソンの『自然論』に感銘を受け、20歳の時、池の畔の小屋で6週間過ごす。ハーバード大学を卒業後、教職に就くが、児童に対する体罰を強いられた彼は激しく反発し辞職。秋にはエマソンのいる「超越クラブ」に加わった。
21歳の時、私塾を開く。その教育法は、屋外で授業を行い、知識を実生活に結びつけることに重きを置く。『若草物語』の著者となるオルコットもここで学ぶ。22歳の時恋をするが実らず、生涯独身。1841年、24歳の時学校が、閉校となり、エマソンの家に住み込む。
1843年、26歳の時、ボストンの『文学雑録』誌に『ウォチューセットへの散歩』を発表。同年、『ダイヤル』誌に、自作の詩と孔子の言葉の翻訳を掲載。ソローは、ウォールデン湖周辺の森を破壊から守るために、北岸の土地の一部を購入したエマソンの土地の中に小屋を建て、28歳の時、簡素な一人暮らしを始める。この生活は、ソローらしい数々の実験を試すことが目的であったが、彼のウォールデンでの生活は注目を集め、その講演は好評のうちに何度も開催されるようになった。1854年、37歳の時、何度も校正を続けてきた『ウォールデン』をついに出版。
1860年、43歳の時病気になり家に閉じこもりきりになる。死期が近いことを悟ったソローは、原稿の整理にかかり、機関誌などに発表した。1862年、結核のため、故郷コンコード死去。44歳。没後、『メインの森』（1864年）や『コッド岬』（1865年）などの旅行記や、自然誌エッセー、日記、書簡集等、数多くの作品が出版されている。ソローの作品は、人間と自然との関係をテーマにしたものが多い。